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残業代請求の時効が民法改正により2年から5年に延長!会社側の対応は?

Q. 1年ほど前に退職した従業員から、約600万円の未払い残業代を請求する旨の内容証明郵便が会社に届きました。弁護士事務所などは使わず、本人が自分で書類を作成して送ってきているようです。当社は飲食業をしておりまして、この従業員は店長として4年ほど在籍しておりました。タイムカードを見ると確かに1日3~4時間程度の残業を行っていたのですが、すでに月に50,000円の店長手当を支払っており、残業代は精算済みと考えています。また、残業代の時効は2年と聞いていますので、今から2年より前の分についてはそもそも請求できないのではないでしょうか。


A. 労働基準法による未払い残業代(賃金)の時効は2年となりますので、時効を主張すれば、2年より前に支払い期日が来ている残業代については時効により支払いの義務を免れることができます。2年より前の未払い残業代を請求すること自体は自由ですので、ご注意ください。なお、2020年4月1日施行の民法改正により未払い残業代の時効が5年となる可能性があります。その場合には、さらに2年より前の分の未払い残業代を請求される可能性が出てきます。また、店長手当が残業代として認められるかは、支払いの実態(契約で店長手当は残業代であると説明していた、実際の残業代に相当する額が支払われていた、といった諸事情)により、判断されます。


1.残業代請求、時効の基本的なルールとは。


① 現在の未払い残業代の時効は2年

従業員から過去の未払い残業代を請求された場合、その額が大きくしばしば驚かれることがありますが、未払い残業代の時効は労働基準法(第105条)により2年とされており、残業代の請求を受けた日からさかのぼって2年を超えた未払い残業代につき、会社側が時効を主張(援用)することで、支払いを拒否することができます。これを知らずに未払い残業代の請求に対応すると、過去2年を超え、すでに支払う必要のなかった未払い残業代をそのまま支払ってしまうこともあるでしょう。なお、すでに時効を過ぎた未払い残業代の存在を会社が認めると、時効が完成した後であっても、消滅していた未払い残業代の請求権が復活してしまう場合があるので、注意が必要です。


② 時効は賃金支払日ごとにやってくる

未払い残業代の時効はそれぞれ、もともとの各給与支払日ごと(日給、月給など給与形態にかかわらず、給与支払のつど)に開始します。よく間違われるところですが、勤務した日、または給与〆切日ごとではありません。下記の図の通り、入社から2年を経過した従業員であれば、毎月1回、1ヶ月分ずつの未払い残業代の時効が来ていることになります。


※給与が末締め翌月10日払いのケースにおける時効

給与が末締め翌月10日払いのケースにおける時効


③ 民法改正により残業代請求の時効が2年から5年に延長される?

労働基準法により現在2年とされている未払い残業代(賃金)の時効ですが、2020年4月1日施行の民法改正により5年に延長される可能性が出てきました。実現した場合、過去の未払い残業代請求を受けた際の対応に大きく影響が出てくることになります。もともと、民法では未払い残業代(賃金)などの時効は1年とされていましたが、それでは労働者の保護に欠けるとして、特別法の労働基準法により時効を2年まで引き伸ばしていたものです。しかし、2020年4月1日の民法改正により未払い残業代(賃金)などの時効が5年となると、今度は逆に労働基準法で2年とされている時効を民法の5年にあわせなければ、労働者の保護に欠けるのではないか、労働基準法の改正も必要ではないかという問題が出てきています。

さて、労働基準法の改正いかんにかかわらず、民法改正により未払い残業代の時効が5年となる場合には、これまで以上に、長期間にわたる多額の残業代請求がなされることになります。その際には、時効以外の方法を駆使して残業代の請求に反論していくことになると考えます。



2.進み続ける時効と、時効の進行を阻むものとは。


① 会社側に請求が到達しなければ時効は進み続ける

この2年は未払い残業代の請求があった時点からさかのぼって計算することになりますが、民法では意思表示は相手方に到達して初めて効力を生じるとされていますので、従業員が「残業代の請求書を郵送した」「内容証明郵便を送付した」日付けではなく、「残業代の請求書を受け取った」「内容証明郵便が到着した」など、会社側が受領した時点からさかのぼって時効を計算することになります。ちなみに、口頭で未払い残業代を請求することも有効ではありますが、請求の証拠が残らず請求自体をうやむやにしておくと、のちのち日付などで争いになることも多いため、未払い残業代の請求があり時効が関連する場合、書面で提出させるようにした方が解決に向けた話し合いはしやすいするべきといえます。


※郵送日と受領日のズレが問題となるケース

郵送日と受領日のズレが問題となるケース


② 請求によって時効が一時的にストップする

書面や口頭により未払い残業代を請求することを民法では「催告」といい、その日から6ヶ月間に限り、時効の進行を一時的にストップさせる効果があります。時効の進行が一時的にストップしている間は、つぎつぎ時効が到来して過去2年を経過した未払い残業代の請求権がなくなっていくということはありません。ただし、未払い残業代の請求による時効の進行をストップさせる効果はあくまで一時的なものですので、残業代の請求を行ってから6ヶ月以内に裁判などで請求を行わなければ、時効のストップはなかったものとされ、経過した6ヶ月間の時効はもともとの時効日に成立することとなります。


一方、裁判による請求が行われた場合は一時的にストップしていた時効は完全にリセットとなり、また初めからカウントすることになります(催告で時効の進行がストップする前に到来していた時効に影響を及ぼすものではありません)。少しテクニカルなお話になりますが、時効の進行が一時的にストップしている間に再度残業代の請求を行ってさらに時効の進行を遅らせることは認められません。一時的にストップしている時効に対しては最初の請求から6ヶ月以内に裁判による請求を行う必要があるため、弁護士事務所などから請求があった時には、6ヶ月以内に決着がつかなければ、かならず裁判があるものと考えてよいでしょう。


※時効の中断による効果

時効の中断による効果


時効の中断は通常、書面又は口頭による残業代の請求によって発生しますが、残業代を請求された側が請求権の存在を認める「承認」による場合もあります。たとえば、会社側が1円でも残業代の未払いがあることを認めた場合には「承認」とされ、時効の進行が6ヶ月に限り一時的にストップとされます。あるいは、交渉に入り、少しでも従業員側に妥協し、残業代を支払うということであれば、「承認」による「中断」となります。そこで、「承認」のタイミングを戦術的に後にずらすような手もあるかもしれません。



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